【エクササイズコラム】筋トレはどれくらいの重さですればいいの?
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「腕立て伏せは10回で効果ありますか?」「重りはどれくらいがいいですか?」「週何回すればいいですか?」このような質問は多く聞かれます。今回は「筋肥大を目的とした場合の適切な筋トレの強度」を書いていきます。
RM法
筋トレに詳しい人なら、「RM法」という言葉を聞いたことがあると思います。RMとは、「Repetition Maximum」の略で、「負荷に対し、最大限反復できる回数」という意味を持ちます。
つまり、1RMは「1回はできるけど2回目はできない負荷量」10RMは「10回はできるけど11回はできない負荷量」となります。
そして、%RMという表し方もあります。例えば、「80%RM」や「50%RM」などです。
これは、「最大筋力の80%」「最大筋力の50%」という意味合いになります。
例えば、100kgの重りをなんとか1回だけ持ち上げることができる人の、80%RMは、80kgということです。
「10RMでやらないと筋肥大は起こらない」「10RM以上は持久力トレーニングになる」と考えられていました。
これらは、完全に間違いとまではいきませんが、最近の研究では少し違うことがわかってきました。
大事なのはトータルでどれくらい筋肉に負荷をかけたか
Burd NAらは、8人の男性たち(年齢24±5, BMI=25±4)を70%RMの強度で1セットだけ疲労困憊までレッグエクステンションを行う群と、3セット行う群に分け、その後のタンパク質の合成について調べました。
結論から言うと、3セット行なった群が、タンパク質合成の量・持続時間ともにレベルが高かったと報告しています。
つまり、この研究では、同じ負荷量ならセット数が多い方が筋肥大効果が高いことを示唆しています。
そして、Mitchell CJらは、18人の男性(年齢21±1 BMI=22.6±2.1)に対し、
「30%RMで疲労困憊になる運動を3セット行なった群」(低負荷高頻度)
「80%RMで疲労困憊になる運動を1セット行なった群」(高負荷低頻度)
「80%RMで疲労困憊になる運動を3セット行なった群」(高負荷高頻度)
の3グループに分け、週3回のトレーニングを10週間に渡って行い、筋力と筋肥大効果について調べました。
80%RM×3セットの群が筋力・筋肥大効果が高いだろうと予測されますが、結果は
筋力は「筋力は80%RMの3群が上回ったが、筋肥大は80%RMと30%RMに差はなかった」
としています。
つまり、これらの研究結果をまとめると、
「重要なのはセット数でも1回の負荷量でもなく、トータルでどれくらい負荷をかけたか」
となります。
負荷量の考え方
ある人の1RMが100kgだったとします。
50%RM(50kg)の強度の運動を10回行ったときの負荷量は
50kg×10回=500kg
となります。
では、同じ人が、25%RM(25kg)の強度の運動を20回行った時の負荷量は
25kg×20回=500kg
となり、今回紹介した研究結果によれば、どちらも筋肥大効果は同じと言うことになります。
ここからは好みだと思いますが、「めっちゃキツいけどすぐ終わるトレーニング」「そこそこのキツさだけど回数が多いトレーニング」では、筆者は前者の方がツラい時間が短いのでこちらを行いたいです。
週何回すればいいの?
負荷量の考え方はわかりました。では、週何回の筋トレが筋肥大にとって効果があるのでしょうか。
「超回復の原理があるから筋肉痛が治るまでだめ!」「1日休息日を設ければ大丈夫!」
など、よく聞きます。
Colquhounらは、28人の男性たちに対し、スクワット・ベンチプレス・デッドリフトを強度が同じになるよう回数・セット数を調整し、週3回と週6回のグループに分け、ともに6週間に渡りトレーニングを行なったあとの筋肥大効果を測定しました。
結果は、週3回行なったグループと、週6回行なったグループでは、筋肥大の効果に差がなかったことを示しました。
つまり、1週間におけるトータルの負荷量が同じであるならば、週3回行おうが週6回行おうが、筋肥大に対しては同様の効果が得られると言うことです。
結論として、日々忙しく時間があまり取れない方は、1日の負荷量を高く設定すること。反対に比較的時間が取れる方は、1日の負荷量を低めに設定し、頻度を多くするといいでしょう。
終わりに
軽すぎる負荷では回数やセット数を相当多くしないと十分な負荷量を得られません。まずは、自分ができる最大限の負荷量はどれくらいかを知ることが重要です。
例えば、足を鍛えるスクワットは何回できるのか。
ノーマルスタンススクワットでは軽すぎる場合では、
片足を後ろにおいた椅子などに乗せて行うシングルレッグスクワットに変える(重さを変える)
またはランジやスプリットスクワット も加える(バリエーションを増やして回数を増やす)
などの工夫が必要でしょう。
繰り返しになりますが、重要なのは、1週間におけるトータルの負荷量です。
参考文献
Mitchell CJ:Resistance exercise load does not determine training-mediated hypertrophic gains in young men.
Burd NA:Resistance exercise volume affects myofibrillar protein synthesis and anabolic signalling molecule phosphorylation in young men.
Colquhoun RJ:Training Volume, Not Frequency, Indicative of Maximal Strength Adaptations to Resistance Training.