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腰痛を克服する②~ガイドラインと安静~

2019年4月28日

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この記事を読むのに必要な時間は約 4 分です。

前回の記事では、腰痛の主な原因の種類についてと見逃してはいけない徴候について書きました。今回は、腰痛における各国のガイドラインや、腰痛に対する安静は正しいのかどうかを書いていきたいと思います。

前回の記事はこちら

腰痛は世界的に見ても多い愁訴です。そのため、様々な国で腰痛を予防するためのガイドラインなどが作られています。そのいくつかを紹介します。

急性腰痛への対処法(ヨーロッパ腰痛ガイドライン、2004)

  • 画像検査(X線、CT、MRI)を行ってはならない
  • 適切な情報を与えて、患者を安心させること
  • 治療として、安静臥床を指示してはならない
  •  活動性を維持するようにアドバイスし、できれば仕事を含む普段どおりの生活を続けさせる
  • 必要に応じて鎮痛剤を処方し、できるかぎり定期的に服用させる
  • なかなか普段どおりの生活に戻れない患者に対して、脊椎マニピュレーションを検討する(専門家に紹介する)
  • 腰痛のために4~8週間以上欠勤している労働者に対して、職場環境における集学的治療プログラムを検討する

ヨーロッパのものは以上です。次は、日本のものを見てみましょう。

腰痛診療ガイドライン(2012.日本)

  • 腰痛の発症と遷延に心理社会的因子が関与
  • 運動不足,喫煙は腰痛発症に危険因子
  • 画像検査を前例に行う必要はない
  • 安静は有効な治療法ではなく,活動性維持が有効
  • 痛みに応じた活動性維持は痛みの改善,休業期間の短縮,再発予防に効果的
  • 電気治療,牽引の有効性のエビデンスは不足
  • 徒手療法,マッサージ,鍼治療は他の治療法より効果があるとはいえない
  • 患者教育は腰痛の自己管理に有用
  • 運動療法及び認知行動療法は亜急性または慢性期の腰痛に有用

ヨーロッパ、日本ともに共通しているのは、画像所見は推奨されず、治療指針として安静も推奨されていないという点です。恐らく多くの人が「腰が痛いときは安静にしなければならない」と思っていたのではないでしょうか?

知らないと恐ろしいことになる、「腰痛と安静」

「腰痛があるときに安静にしてはならない」というのは、実はすでに世界的な常識になりつつあります。

いわゆる「ぎっくり腰」でさえも、安静を保ちすぎるとかえって後の経過がよくないことが分かっており、腰痛があっても(Red flag signでなければ)仕事や日常生活といった普段の活動をできる範囲で維持したほうが望ましいとされております。

安静はむしろ腰痛を悪化させる要因になりえる可能性があります。腰痛があり、安静にした人と普段の生活を継続した人とでは以下のような違いがあったと報告されております。

なんと、安静にした人のほうが、活動を継続した人と比較して再発率も腰痛が持続した期間も悪かったのです。腰痛が3カ月以上継続したかどうかについては、安静群が28.6%であったのに対し、活動群は0%という結果になっております。

また、安静は腰痛に限らず人体にとって大きな影響をもたらします。例えば

筋肉への影響  :1週間の安静で、約10%筋力が低下する

関節への影響  :3週間の安静で、関節は硬くなり、曲がりにくくなる

骨への影響   :数日の安静で、骨吸収が始まり、もろくなる

心肺機能への影響:3週間の安静で、10%以上機能低下する

消化管への影響 :消化吸収機能低下、食欲低下、便秘

神経への影響  :平衡感覚の低下、精神活動の低下

以上が挙げられます。

まとめ

腰痛は8割の人が経験する不調です。また、とても身近なもののため、深く考える人も少ないです。しかし、古い常識をもったままこれを放っておくと、やがて症状は悪化し大変なことになるかもしれません。正しい知識を持つことが、腰痛を克服する第一歩です。

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