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腰痛を克服する③~画像診断について~

2019年4月28日

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この記事を読むのに必要な時間は約 5 分です。

前回は腰痛における各国のガイドラインについて書きました。今回はその腰痛は自己管理できるのか、腰痛における画像診断を行う必要性について書いていきたいと思います。

前回の記事はこちら

腰痛には自己管理していいもの、また自己管理してはいけないものがあります。以下に書いていきます。

自己管理してはいけない症状

①転倒、転落、外傷後の痛みで日常生活に支障が出る→骨折の可能性

②臥位でじっとしていても痛い、楽な姿勢がない→重篤な疾患が原因の可能性

③強い痛みが臀部から膝より下まで放散する→神経根症状

④会陰部周囲のしびれや灼熱間、あるいは尿が出づらいことがある→馬尾徴候

⑤足の脱力がある、例えば、かかと歩きが片足でしにくい→筋力低下

自己管理できる腰痛

・腰痛と姿勢や動作の関与が明確かつ一貫性がある楽な姿勢が必ずある→脊椎の機能不全

自己管理しうる腰痛

・心的ストレス(不安、不快、負担感など)が強まると痛みがでやすい

 器質的原因が明確でない以下の症状や、腰痛や背中のはり以外に1つ以上伴う→脳の機能不全(痛くないはずなのに、痛いと脳が錯覚している)

(睡眠障害・抑うつ的、頭痛、めまい・耳鳴り、肩こり、息苦しさ・動悸、胃の不調・吐き気・下痢)

自己管理してはいけない症状に当てはまる場合は早急な受診が必要です。

原因の精査が必要で、姿勢によってしびれや筋力低下などがある時も、同じく病院に行ってください。

なんとなく痛い(軽いしびれ)意識すると痛い(軽いしびれ)など、長時間持続しない場合は自己管理可能な範囲と判断できます。

しかし、それでも気になるという場合は、我慢せず診察をうけることをおすすめします。

腰痛における画像診断の意味

自己管理できる腰痛、自己管理しうる腰痛に関しては、腰痛における既存の常識を捨てることが重要です。

ここで、この記事をご覧の腰痛がある方に質問です。

その腰痛は骨の変形やゆがみ、軟骨のすり減り、椎間板の異常、神経の圧迫などが腰痛の原因と説明されていますか?

この質問に対し、以下の研究があります。

アメリカのBigosらが行った1992年の研究で、健常者203名、急性腰痛患者207名、慢性腰痛患者200名のレントゲン画像診断で、異常検出率に差は無かったと報告されました

Bigos SJ, et al. A longitudinal, prospective study of industrial back injury reporting. Clin Orthop Relat Res. 1992 Jun;(279):21-34.

また、その他の研究として

腰痛を訴えて、椎間板ヘルニアと診断された患者46名と、腰痛のない健康な人46名に対して、腰部のMRIを撮影しました。
その画像に対して、2名の神経放射線医が、椎間板の状態を検証しました。
また、事前に心理社会的側面についてのアンケートを行いました。
どちらのグループも、年齢・性別・職業などは、同じ条件としました。

その結果は

腰痛のない健康な76%に椎間板ヘルニアがある。

腰痛のない健康な85%に椎間板変性がある。

1995 Volvo Award in clinical sciences. The diagnostic accuracy of magnetic resonance imaging, work perception, and psychosocial factors in identifying symptomatic disc herniations.Boos N, Rieder R, Schade V, Spratt KF, Semmer N, Aebi M.Spine (Phila Pa 1976). 1995 Dec 15;20(24):2613-25..

というものでした。つまり、レントゲンにおいてもMRIにおいても、腰痛のある人とない人の間に、明確な差はなかったということです。よく腰痛の痛みとして取り上げられるヘルニアや椎間板の変性でさえも、腰痛のない人にも存在するという事実が明確になったのです。

つまり、画像所見のほとんどは腰痛の原因を説明することはできないということです。腰痛があり、病院に行き、「ここにヘルニアがあるから腰痛の原因になっている」などの説明を受けた方は、過去の画像は忘れたほうがいいかもしれません。

腰痛で病院に行った際に、いつから痛いのかや、仕事やプライベートの身体的・心理的ストレス状況などの詳しく状態も聞かずに、即レントゲンやMRI検査をする医師は、もしかするとルーチンとして画像を撮っているだけかもしれません。

まとめ

腰痛と画像診断はほとんど腰痛との因果関係を証明することはできません。それでも画像診断を強く勧めるのは、もしかすると原因の精査がそれしかできないのかもしれませんね。何故なら、腰痛があってもなくても8割~7割の人はなんらかの脊椎・椎間板の異常があるので、「ほら、これが原因でしょ」と言いやすいためです。

そういったルーチンをせず、問診を中心に行ってくれる医師こそ、本当に信頼できる医師だと思います。

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